糖尿病治療の目的

糖尿病では、慢性的に血糖値が高くなります。
慢性的に血糖値が高い状態が続くと、糖尿病の合併症で、生活の質が低下し、寿命にも影響がでます。

たとえ糖尿病があっても、血糖をコントロールして、健康な人と同じ程度の生活の質や健康寿命を保つことが、糖尿病の治療の目的です。

 

血糖値をコントロールする理由

糖尿病による合併症を起こさないために、すでに合併症のある場合には、これ以上悪くしないために、血糖コントロールを行うことが大切です。

血糖値が高いままでいると、眼、腎臓、神経など、全身に病気を引き起こします(糖尿病の合併症)。
糖尿病は、病気が進んでいない時期にはあまり症状はありませんが、合併症が出てしまうと、生活に影響が出るほどの状態になってしまうこともあります。視力の低下や人工透析、糖尿病性の壊疽など、生活に制限が出てきてしまいます。
血糖値しっかりコントロールしていくことで、すでに合併症がある場合でも、合併症を進めることや、他の合併症を起こすことを抑制するができます。

 

血糖値をコントロールする方法

食事療法

食事により糖が体内に取り込まれますが、食事療法では、取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスを調整します。

運動療法

運動により糖が消費され、さらに運動により筋肉の量が増えることで、糖をさらに消費しやすくなります。さらに脂肪が減ることで、インスリン抵抗性が改善され、血糖値を下げるインスリンが効果を発揮しやすくなります。

薬物療法

糖尿病の薬にはいろいろな種類があり、大きく分けると「飲み薬」と「注射薬」があります。
飲み薬は、インスリンの分泌を良くするもの、インスリンの効きを良くするもの、食事でとった糖の分解や吸収を遅らせるもの、糖の排泄を促すものがあります。
注射薬は、インスリンの分泌を促す注射や、インスリンそのものを外から補う注射などがあります。

●メトホルミン薬

肝臓での糖の放出を抑えて、筋肉や脂肪組織でのインスリンの効き目を改善します。

●チアゾリジン薬

筋肉や脂肪組織でのインスリンの効き目を改善します。

●α‐グルコシダーゼ阻害薬

小腸にあるα‐グルコシダーゼという酵素を抑えることで、糖の吸収を遅らせることにより、食後の血糖の上昇を抑えます。

※α-グルコシダーゼ阻害薬(糖吸収・排泄調節系)を使用します。 → 糖の吸収を遅らせることにより、食後の高血糖を抑制する薬です。

●DPP‐4阻害薬

小腸から出されるGLP-1やGIPといったインクレチンというホルモンの分解を抑えることにより、インクレチンの膵臓への作用を高めて、血糖値に応じてインスリンの分泌を高め、同時に、グルカゴンという血糖上昇を促すホルモンを抑えます。

※DPP4阻害薬 → 血糖が高くなるとインスリンの分泌を促し、同時に血糖を上昇させるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑える薬です。

●スルフォニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬

膵臓に働いて、インスリンの分泌を促すことで、血糖を低下させます。最近では、副作用としての低血糖の心配から、できるだけその使用を少なくすることが推奨される傾向にあります。

●SGLT2阻害薬

腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑えることで、多くの尿糖を出させることで血糖を下げます。

●GLP-1受容体作動薬

インクレチンの中のGLP-1様作用のある注射薬で、膵臓への作用の結果、血糖値に応じてインスリンの分泌を高め、同時に、グルカゴンという血糖上昇を促すホルモンを抑えます。また、胃の運動や食欲を抑えて、血糖の上昇を抑えます。

●糖毒性解除のための短期インスリン療法

インスリン治療が生命維持のために絶対必要で、ずっと使い続けるインスリン療法とは違い、血糖がある程度以上高く、「糖毒性」が深く関与していると考えられる場合に、その糖毒性解除のために、短期間(数か月のことが多い)インスリン自己注射をしながら治療をすることがあります。インスリンを使うことで、比較的短期間で確実に正常な値に下げることができ(糖毒性の解除)、すい臓を休ませてその働きを回復させることができます。
短期間だけインスリンを使って、血糖値が改善した後は飲み薬で治療するという方法です。

1型糖尿病の方の場合には、インスリンとα‐グルコシダーゼ阻害薬のみが使えます。一方で、2型糖尿病の方のばあいには、上記の各治療薬の様々な組合わせによって、よりよい血糖コントロールを目指していきます。